【葉酸/ビタミンB9】神経管閉鎖障害リスクを抑える

葉酸/ビタミンB9の働き

葉酸/ビタミンB9の働きは水溶性ビタミンに分類され、胎児の正常な発育に不可欠な栄養素とされ、神経管閉鎖障害リスクを抑える効果があるとされています。妊娠を希望されている方、妊娠中の方および授乳中の方は特に必要とされています。また動脈硬化、心臓病、脳血栓を招く原因の1つと考えられるホモシステインを代謝しています。そのほか赤血球の合成やDNAの複製、染色体の破損防止に効果があるとされています。

神経管閉鎖障害リスクを抑える

妊娠を希望されている方、妊娠中の方および授乳中の方は、食事以外からの葉酸摂取が推奨されています。葉酸が不足していると、神経管閉鎖障害を引き起こします。神経管閉鎖障害とは妊娠4~5週目ごろに形成される中枢神経系の障害です。脊椎神経が脊椎に覆われていない剥き出しの状態になり、運動障害や脳の形成不全となります。日本では通常の食事に加え、サプリメントなどで1日あたり400μgの葉酸を摂取するように通達が行われました。

動脈硬化の原因であるホモシステインの代謝

葉酸/ビタミンB9は、同じ水溶性ビタミンであるビタミンB12およびB6、必須アミノ酸であるメチオニンと協力して、動脈硬化を招く原因の1つと考えられるホモシステインを代謝しています。代謝されたホモシステインはシステインに変わり、皮膚の形成などに役立っています。

葉酸が不足するとホモシステインの代謝に異常が発生し、ホモシステインが血中へ出ていきます。血液中のホモシステインは、過剰になった悪玉(LDL)コレステロールと結合し、活性酸素の攻撃により酸化します。酸化されると血管内の壁に付着し、血液の流れを阻害し動脈硬化、心臓病、脳血栓を招きます。

葉酸(ビタミンB6およびB12、メチオニン)を十分に摂取しておくことで、動脈硬化の原因となるホモシステインを正常に代謝することができます。

必要量と含有量

葉酸として活性を示す物質はモノグルタミン酸と呼ばれ、小腸で吸収されます。しかし食物中に含まれる物質はポリグルタミン酸と呼ばれ、そのままでは葉酸として性能を発揮できない状態で存在しています。ポリグルタミン酸とは、たくさんのモノグルタミン酸が結合した物質のことを指します。このポリグルタミン酸は食物の調理過程および胃で分解され、モノグルタミン酸に変わり、葉酸活性を示します。しかしポリグルタミン酸がモノグルタミン酸として小腸で吸収されるまでに体内の様々な代謝を受け、ポリグルタミン酸が葉酸として利用されるのは約50%以下と推定されています。

これに対しサプリメントでは、プテロイルモノグルタミン酸として呼ばれるモノグルタミンとは異なった構造の物質で構成されており、安定性に優れるだけでなく、葉酸としての生体利用効率が非常に高いとされています。胎児の神経管閉鎖障害のリスクが低減されると報告された疫学研究でも、葉酸のサプリメントによるものです。

葉酸/ビタミンB9の1日の必要量は、成人男性女性ともに240μgとされています。現在の摂取量は成人男性が280μg前後、成人女性が270μg前後と必要量を満たしています。ただし妊娠を希望されている方、妊娠中の方および授乳中の方は通常の食事に加え、サプリメントなどで1日あたり400μgの葉酸を摂取するようにしましょう。

 食品食品100gあたりの葉酸/ビタミンB9の量
魚介類ウニ360μg
たらこ50μg
ししゃも36μg
肉類鶏もも肉23μg
鶏むね肉18μg
牛タン14μg
野菜アスパラガス(炒め)220μg
ホウレン草(炒め)150μg
ニラ(炒め)140μg
その他枝豆(茹で)260μg
納豆120μg
大豆(蒸し)96μg

不足すると

葉酸/ビタミンB9は穀類や肉類など多くの食品に広く含まれ、また腸内細菌によっても合成されるため、一般的に欠乏症には陥りません。しかしアルコールの摂取、アスピリンや避妊薬のピルを服用されている方は欠乏症を引き起こすことがあります。欠乏すると胎児の神経管閉鎖障害、脳の形成不全、ホモシステインの蓄積による動脈硬化・心臓病・脳血栓、赤血球の合成に異常をきたし巨赤芽球性貧血を招きます。

  • 胎児の神経管閉鎖障害
  • 動脈硬化

過剰になると

葉酸/ビタミンB9は通常の食事で過剰症を引き超こす可能性は極めて低いとされています。ただしサプリメントなどで10mgに相当するモノグルタミン酸を過剰に摂取した場合、ビタミンB12欠乏状態か確認できなくなることがあります。また15mg以上摂取した場合、小腸での亜鉛の吸収を抑制する可能性があるとされています。

併用すると良い栄養素

ビタミンB群はそれぞれ助け合いながら作用するので、ビタミンB1、B2、B6、B12をバランスよく摂取することで、相乗効果が期待できます。

葉酸/ビタミンB9の吸収阻害因子

葉酸/ビタミンB9は成分と一緒に摂ると吸収が阻害されてしまいます。オレンジジュースとトマトが、ポリグルタミン酸が生体でモノグルタミン酸へ代謝するときに必要な物質の働きを阻害するとされています。

  • オレンジジュース
  • トマト
  • アルコール
参考

厚生労働省、「統合医療」情報発信サイト

国立健康・栄養研究所

厚生労働省、「平成28年国民健康・栄養調査報告」

「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」 報告書

Shuhei Ebara, Kei Shibagaki, Misa Ohgushi, Toshiaki Watanabe. Effect of Green Tea on Porcine Intestinal Glutamate Carboxypeptidase Ⅱ activity. Trace Nutrients Research 29 : 81-83 (2012).

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